「銀鱈(銀だら)」と「鱈(タラ)」の違いとは?

魚久のぎんだら粕漬、黒皿に乗せた調理前の切り身

はじめに:似て非なる「タラ」

「銀だら」と「タラ」——名前は似ていても、実は全く別の魚です。スーパーや魚屋の店頭でよく目にする「真鱈(まだら)」「助宗鱈(すけそうだら)」とは、分類も味わいも大きく異なります。この記事では、その違いをご案内します。

第1章:生物学的な違い:カサゴ目 vs タラ目

まず、最も根本的な違いは生物学上の分類にあります。

1. 銀鱈(銀だら)は、タラの仲間?

驚かれるかもしれませんが、銀だらはタラの仲間ではありません。生物学的な分類で見ると、銀だらは「カサゴ目」に属します。カサゴ目にはアイナメ、アブラボウズ、カサゴ、キンキ、ホッケなど、海底付近に生息する魚が幅広く含まれます。その中でさらに「科」が分かれており、銀だらが属するギンダラ科はわずか2種のみで構成される小さなグループです。もう1種がアブラボウズで、銀だらの最も近い仲間にあたります。ホッケやアイナメはアイナメ科、カサゴやキンキはフサカサゴ科に属し、それぞれ異なる仲間になります。

2. 鱈(タラ)は「タラ目」の正統

一方で、私たちが一般的にタラと呼ぶ「真鱈」や「助宗鱈」は、
タラ目タラ科に属します。こちらは銀だらとは全く異なるグループ。「魚」に「雪」と書く漢字の通り、冬に旬を迎え、鍋料理の定番として、またタラコや干物の原料としても広く知られています。

※魚類の分類体系は研究の進展により更新されることがあります。本記事は執筆時点の一般的な分類に基づいています。

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第2章:脂乗りの違い:銀だら vs 真鱈

次に、私たちの舌が感じる最も大きな違い「脂」についてご紹介します。

1. 「脂乗り豊かでとろける」銀だら

銀だらの最大の特徴は、豊かな脂乗りと口どけのよさです。銀だらは水深300メートルから2,000メートルという極寒の深海に生息しています。深海の高水圧と寒さに耐え、浮力を得るために、身に大量の脂肪分を蓄えています。水分が少なく、脂が多いため、加熱しても身が縮みにくく、口の中でとろけるような食感を生み出します。

2. 「淡白でヘルシー」な真鱈

対して、真鱈は脂肪分が少なく淡白な味わいで、高タンパクで低カロリーな魚の代表格です。身は水分を多く含み、雪のように白く、加熱するとほろほろと大きくほぐれるのが特徴です。その淡白さゆえに、出汁の味を吸わせる鍋料理や、油を補うフライ、ムニエルなどに非常に適しています。

比較項目銀鱈(銀だら)真鱈(まだら)
分類カサゴ目タラ目
主な産地北太平洋(アラスカ、カナダ)北日本、ベーリング海等
脂乗りとても豊か、濃厚少ない、淡泊
食感しっとり、とろけるホロホロ、パラリとしている

第3章:銀だらと粕漬けの相性のよさ

魚久の代名詞である「ぎんだら」。ぎんだら京粕漬が看板商品として長く愛されてきた背景には、脂と粕床の相性があります。

1. 酵素が引き出す、脂の甘み

酒粕に含まれる酵素は、魚のタンパク質を分解して旨みを引き出し、身を柔らかくします。ぎんだらの豊かな脂は、この酵素の働きによってコクと甘みをさらに深めながら、しっとりとした質感を保ったまま熟成されます。

2. 焼いたときの香りと照り

焼くと脂が溶け出し、表面の酒粕と混ざり合います。これが熱せられることで芳醇な香りと美しい照りが生まれます。脂の甘みとコク、酒粕の香りが相まって、ぎんだら京粕漬ならではの味わいが完成します。

豆知識:生の銀だらを店頭で選ぶなら

粕漬けではなく、食材としてスーパーなどで銀だらの切り身を購入する機会があれば、こんな点を参考にしてみてください。

1. 「身の色」と「透明感」

質の良い銀だらは、身が透き通るような白、あるいは薄いピンク色をしています。脂がしっかり乗っているものは、身の中に細かな白い筋(サシ)が見えることもあります。逆に、色がくすんでいたり、黄色っぽくなっているものは酸化が進んでいる可能性があるため避けましょう。

2. 「皮」の輝き

魚全般に言えることですが、皮にツヤがあるものは鮮度のよいサインです。銀だらの皮は銀色から黒みがかった色をしており、その輝きが目安になります。

3. 「切り口」のエッジ

切り身で買う場合、断面がピンと立っているものを選んでください。時間が経ったものは断面がダレてしまい、せっかくの脂がドリップとして流れ出してしまいます。

第4章:魚久の「ぎんだら京粕漬」を美味しく食べるには

魚久の味をご家庭でお楽しみいただくためのポイントです。

魚久のぎんだら京粕漬、焼いた切り身、白い角皿に盛り付け。ぎんだら京粕漬のページへ

1. 粕は「洗い流す」のが必須

魚久の京粕漬は充分に味がしみ込んでおりますので、粕をつけたまま焼く必要はございません。焼く前に、粕を水で綺麗に洗い流してから、キッチンペーパーなどで水分を取ってください。

2. 「弱火でじっくり」

魚久の粕漬けは酒粕と脂の影響で焦げやすいため、強火で一気に焼くと、表面だけが先に焦げてしまいます。弱火で、こまめに様子を見て、表面が飴色に色づくのを確認しながらじっくりと焼いてください。

3. お供は「白いご飯」とお酒

銀だらの濃厚な旨みを受け止めるのは、やはりの白いご飯です。お酒をお楽しみになる方には、冷えた日本酒や白ワインとの相性もよく、晩酌の席に豊かなひとときを添えてくれます。米の旨みがしっかりした純米酒も、ぎんだらの脂の甘みとよく合います。

結び:魚久のぎんだら京粕漬を、食卓に

「銀鱈」と「鱈」。名前は似ていても、分類も味わいも大きく異なる魚です。その違いを知ることで、それぞれの魚の楽しみ方がより広がります。
魚久では、厳選した銀だら(ぎんだら)を伝統の粕床で漬けあげ、お届けしています。お召し上がりの際は、粕を水で洗い流し、弱火でこまめに様子を見ながら焼いてください。日々の食卓に、ぎんだら京粕漬が彩りを添えることができればうれしく思います。

執筆:F.S

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